謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
昨年は東日本大震災により多くの方々が多大な被害を受け、改めて自分たちの仕事や生き方、価値観を考えさせられる日々を送りました。新しいものを作ることや成長することにすら疑問を感じ、一度立ち止まって自分たちの存在意義をも考える一年だったように思います。そんな中、去年12月に10周年を迎えた弊社としての「次の10年、ペブルの20年目までの目標」をここに記しておきたいと思います、自分自身の為にも。
2001年にペブルを設立してからの10年は、会社として、そして三橋 一個人として「社会に適合する為」の試行錯誤の10年でした。スタッフのみんながそんな自分につき合ってくれたことを心から感謝しています。まだ適合できているかどうかは定かではありませんが(苦笑)。さて、これからの10年、まだまだ試行錯誤が続くことはもちろん覚悟の上ですが、思い描くのはもちろん、もう個人的なものではありません。今ペブルにいるみんなと、新たな目標へと向かっていければと思っています。とは言いましても、実は今はっきりとした「目標」をここに提示することは正直できません。強いて言うなら、そこをじっくりスタッフみんなと考えていきたい、そんな思いです。
今自分の中で大きく比重を占めているテーマは自分やスタッフの「働き方」、そしてインテリアデザイン事務所として目指すべき「目標」それ自体です。物販店に特化して来た弊社が今後新たにブランドを獲得して成長を続けていくと言うことは、言い換えれば既存のインテリアデザイン事務所がデザインしているブランドを弊社が奪っていくことに他なりません。それがビジネスなんだと言ってしまえばそれまでなのですが、それじゃなくても国内では右肩上がりの成長が見込めなくなってきているこの物販の世界で、さらにインテリアデザインのシェアを拡げていくこと、それ自体に多少なりとも疑問を抱いてしまっているのは事実です。ただただ「成長」「拡大」と声を大にして言っても、どこか違和感を感じざるを得ないのが本心なのです。
そんな中で、弊社が、そしてスタッフみんなが、どのように働くことが今後もインテリアデザイナーとして、また一人間として理想的なのか、それを日々模索しています。そして、今重要なのは、ただただ「成長」を口にするのではなく、一度立ち止まって、自分たちの目指すべきものがどこにあるか、自分たちの「理想」を改めてはっきりと見定めることなのだと思っています。何が自分たちに重要で、何を守っていきたいか。それをじっくり考えて、話し合って、そうして見えて来た目の前の小さな目標を、立ちはだかる大きな壁を少しずつ崩して、10年かけて新たな価値のあるインテリアデザイン事務所を目指して行ければと思っています。
10年後、自分達や自分達の家族が、誰と比べる訳でもなく自分たち基準で十分幸せで、その頃インテリアデザイナーを目指す若者達にどこよりも「入ってみたい」と思ってもらえるようなインテリアデザイン事務所で有れたらいいなあと思っています。
平成二十四年 元旦
有限会社ペブル 代表 三橋 崇