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弊社の店舗デザインについて 2011.09.26

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 今回は、弊社で「どういった過程を経て店をデザインしているか」について、つまり弊社の「店舗デザイン」の一連の流れついてご説明しておこうと思います。
 
 「店舗デザイン」を大きく分類すると2つに分けられます。それが「インテリアデザイン」と「アートディレクション」です。そのうちのインテリアデザインは「デザイン → 設計 → 監理(施工)→ 引渡し」という流れで完成していきます(会社によってそれらの呼び方は多少異なるかもしれませんが)。その内容を細かく分類すると下記のようになります。
 
 
【デザイン】
 
仕事の依頼

ヒアリング(初回打ち合わせ)

現場確認(+ショップリサーチ)

イメージコラージュ作成

コンセプト決定(キーワード、ストーリー、方向性の決定)

ラフデザイン提出(コンセプトマップ、ラフスケッチ)

最終デザイン提出(CGパース or 模型、ラフ図面)
 
 
【設計】
 
基本図

マテリアル、ディテールの検証及び決定

アンティーク家具、ディスプレイ備品の選定

実施図

入札

施工会社の決定
 
 
【設計監理】
 
施工費、仕様の調整

施工費の決定

施工打ち合わせ

工事着工

施工

引渡し

オープン
 
 これら一連を「インテリアデザイン」と呼びます。その中でも弊社ではイメージ的業務を「デザイン」、図面的業務を「設計」、施工会社が施工をされる際に弊社が請け負う監理業務を「監理(設計監理)」と呼んで分類しています。そして、実際にはこの一連の業務は複雑に絡み合い、修正や調整を繰り返す中でより一層精度を上げ、ひとつの店は完成に辿り着きます。それら全てが「インテリアデザイン」です。
 
 また、これらインテリアデザインと平行して、オープン前までに下記の内容も同時進行で進めていくことになります。これら全てを統括する際にはそれら一連を「アートディレクション」と呼び、インテリアデザイン業務と区別して進めていくことになります(実際にはインテリアデザインもアートディレクションの一部の要素に含まれますが)。
 
・ロゴデザイン
・パッケージデザイン
・ショップカードやDMのグラフィックデザイン
・WEBデザイン
・ディスプレイ等のスタイリング
 
 もちろんこれらの要素がもともと整っている場合は、弊社はインテリアデザインのみを進めていきますが、整っていない場合は社内もしくは外部のグラフィックデザイナーと組んでこれらも同時進行で進めていきます。
 
 ただし、これらはオープン後も増刷したり、定期的に内容を変更・更新する必要があり、また内容によってはより専門的な知識や技術が必要な為、外部のアートディレクターやグラフィックデザイナー、スタイリストの方に間に入って頂くことも多く、直接やり取りして頂くように弊社からご紹介することもございます。ただインテリアデザインとグラフィック、スタイリング等のコンセプトの一貫性は大変重要で、一緒に進めていくことが理想的です。その為、弊社で一括して請け負うことももちろん有ります。
 
 このような一連の流れでインテリアデザイン及びアートディレクションは進められ、一つのお店が完成していきます。言い換えればトータルデザインであり、ブランディングとも言えるかもしれません。今後、そのうちの「インテリアデザイン」についてのさらに細かくご説明していこうと思います。

店の価値 2011.09.21

 今回は、目まぐるしく変化している「店の価値」について。

 その内容に触れる前に、まずはきちんと弊社の業務内容に触れておきます。弊社の業務内容は「店舗デザイン」です。その中でも特に多いのは「物販店」のデザイン。インテリアデザイン、空間デザイン、ショップデザイン、リテイルデザインなど呼ばれ方は様々ですが、要するに「店舗デザイン」です。もちろん、必要とあらばグラフィックデザインもディレクションします。ロゴデザイン、パッケージデザイン、ディスプレイなども含め、店に必要なもの全てのディレクションを請け負う場合もありますし、アートディレクターの方と一緒に作り上げていく場合もあります。その中でも、現在弊社がメインとしている業務内容は店の内外装のデザインです。
 
 独立してから10年近く「店」をデザインし続けていますが、その頃から比べて「店の価値」は随分大きく変わりました。もちろん、インターネットで物を買う文化が確立しつつあったさらにその前から、こう変化することは分かっていたとおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、特にここ数年は人がモノを買うその買い方自体の変化は大きく、事実インターネットでの商品の売上げは着実に右肩上がりの成長を続け、逆に実際の店舗の総売上げが落ちてきているという状況が続いています。それは少なくとも10年前の自分には全く想像もできていませんでした。そして、その傾向はこれから数年でさらに大きくなることでしょう。
 
 また「店」はそのブランドの世界観を表現する場であり商品に触れてもらう場所と捉え、実際に商品を購入するのはネットで、といった考え方が定着しているのは現在はまだごく一部ですが、今後はより一層そういった購買層が増加してくるのは確実ですし、どのブランドも各々の解釈のもと、本気でその方法を模索しています。
 
 そんな世の中で「店の価値」すら問われつつある今ですが、当然、人と人、人とモノが触れ合い、コミュニケーションが生まれる「店」、実際に街に出てモノを見て買う楽しさを演出する場としての「店」はこれからも決して無くなりません。今後ネット上でモノが容易に買える環境がより一層整備されていくことで、「店の価値」がさらに際立ってくるとも思っています。
 
 とは言え、もしかしたらブランドの世界観を具現化する「店」は今ほどあちこちには必要なくなってくるかもしれないですし、もし店を作るとしても今までほどお金をかけられないという、店を作るこちら側としては望ましくない状況が待ち受けてもいるのかもしれません。ただ、逆にいえば、実際の店を作るからにはブランドの想いをきちんと具現化した店のデザインが今まで以上に重要になってきてもいるのです。
 
 実際の店舗のみで見た場合でも、今や道路に面して並ぶ路面店よりも駅ビルやショッピングセンターなどの店が横一列に並んでいるインショップの方が「物を買う(売る)」上では便利で売上げとしても見込める状況になりつつあります。
 
 でも「買う」だけならむしろインターネットでも出来てしまう今、買うこと(売ること)を主としない「街を散策する、ついでにモノを買う」という傾向も増えて来ています。出店している街自体の魅力とも必ず連動する話ですが、路面店の価値はこれからさらに変化して行くことでしょう。逆に、散策したいと思えるほど街に魅力がなければ、どんなにいい店でも売れない時代になっています。
 
 また路面店でなくインショップなら、それこそたくさんの店が横並びの環境でいかに自社のブランドを周りの店と差別化し、入りたいと思わせる雰囲気の演出ができるか、そこにはデザインだけではない、売り方やコミュニケーションの方法もより一層重要になってきています。
 
 街、人、モノとコト、ライフスタイル、コミュニケーション、VMD…… 様々な要素が連動し、交差し、今「店」が成り立っています。
 
 「店の価値」が大きく変わろうとしているこの世の中で、今こそ「店」自体も変わらないといけなくなってきています。その転換期を「店」をデザインする側からとても興味深く見守りつつ、デザインを通して私達がどう表現して行けるか、スタッフ一同、日々考えています。新たな「価値ある店」を生み出せることを信じて。
 
有限会社ペブル 代表・三橋 崇